10話 共闘、エリヤ奪還戦(前編)
ここはどこなのか。
目を覚ましたエリヤは辺りを見渡そうと身を捻る。と、同時に左わき腹に鋭い激痛が走った。
普段着ているコートは着ておらず、ベスト越しに血がにじむのが見えた。
(そうか、私は…)
そこは寂れた廃墟のようだった。
脆い壁、瓦礫が散乱し、鉄骨が所々むき出しになっている。エリヤは、そのフロアの最奥の壁にもたれるように座らせられていた。足は自由だ。だがその腕は後ろ手に荒縄で拘束されている。
「お目覚めかな」
エリヤは顔を上げる。
そこには顔半分を覆った男、ローズブレインがいた。
「———!」
(何故、こんなところに)
エリヤは目を見開く。が、一瞬荒れた呼吸を整えるように大きく息を吐き、震える唇で静かに問うた。
「…何が、目的です?私をここに連れてきて。こんな回りくどい事をしなくたって、貴方はいつだって私を殺せるんでしょう?」
エリヤのその言葉にローズブレインの背後からシャルルが顔を出した。
「んだその反抗的な態度は。立場ってモンわかってんのか?そんなに死にたきゃアタシが」
「殺してあげようか、私が」
ローズブレインの言葉に場が凍り付く。
「————」
エリヤは固唾をのみ、沈黙した。
五月蠅いほどに心臓が鳴り、冷汗が首筋を伝う。
ローズブレインは靴音を鳴らしながらエリヤに歩み寄る。そして懐に手を伸ばし
「まあ待ちいやブレイン!」
と、イッセンがその場に現れた。
ローズブレインは懐に伸ばした手を下した。
イッセンはからからと笑いながら続ける。
「せっかくお膳立てしたんや、崩されてもうたら俺泣いてまうで!」
「冗談さ。からかっただけだ」
「はあ~。相変わらず自由やね。———っと、そろそろお客さんもいらっしゃる頃合いや。行ってきますわ。ほなね~いい子にしときやシャルル」
イッセンはそう告げたかと思うとシャルルに手を振って姿を消した。
まった土煙に少しむせながらシャルルはしっしと虫を払うように見送る。
「うっせ!さっさと行きやがれ」
「さて…」
ローズブレインはエリヤに向き直る。
「君を殺しはしない。土産の一つがなくなってしまうからね。まあ、あとそういう約束をしている。少し焦らす程度でいい」
「何ですって…?」
「私はただ、シラヌイの顔が見たい。ただそれだけだ」
「は…?」
視線が交わる。が、ローズブレインの瞳は既にエリヤを映してはいなかった。
「興味がある。どこから湧いてくるのかはわからないが抗いがたい衝動だ。有無を言わさず殺しあうより前に、一度彼をじっくり見たくてね。彼はそういう所があるだろう?その為にも君をここに招待した。君がいれば向こうはいきなり噛みついたりはしない」
「ふ、買い被り…すぎですね」
ローズブレインは廃墟の一室、そのフロアに一つしかない出入口を見つめた。
「さあ、彼らをまとうじゃないかエリヤ学士。君にとっては残念だろうがここまで一本道だ。迷わず来るよ、彼らは」
「…」
「時が満ちるまでもう少し時間がある。その間に、少し話をしようじゃないか」
(時が、満ちるまで?)
「この都市を支配するのは確定した未来だとしても、そこにドラマが無ければつまらないだろう?彼が…どんな反応を見せるのか…。興味がある。まあ、初めから破綻している君に同意を求めても仕方ないか」
「貴方はどうかしている——」
ドン
その言葉はシャルルによる蹴りによって遮られた。
パラ…とエリヤの頭の真横、その壁に埋まった足をシャルルが引き抜く。瞬間的に放たれた蹴りは壁に亀裂を走らせていた。
「”お父様”にたいして口の利き方がなってねえぜエセ神父」
(こんな、子供まで利用して)
エリヤがギリと歯噛みしたその時。建物の向こうから破壊音が聞こえた。
「…!」
「ブレイン、来たみたいだぜ」
シャルルの言葉にローズブレインはほほ笑む。
「さあ、ここまで来い。その時、お前たちが望む真実を語ってあげようじゃないか」
◇
「「はああ!!」」
二人分の掛け声とともにヴァンガード兵がなぎ倒されてゆく。
シラヌイは刀を、ムラサメは鉄槌を構え、二人は廃墟の中を風を切って前進していった。その後ろをルチア、アルバ、フォーガンと続いていた。
「ナイスコンビネーション!」
ムラサメは嬉し気にほほ笑む。
「一時的とはいえ、君と戦えるのは嬉しいなシラヌイ」
「ほう?」
「力の性質は言葉よりも雄弁にその人となりを語ってくれる。シラヌイ、君は真っすぐな男だな」
「そうか。お前がそういうならそうなんだろう」
「だがそういう所が良くないぜ」
「どういう意味だ?」
シラヌイは表情を変えず問うた。ムラサメはにこりとほほ笑んだまま続けた。
「真っすぐすぎるが故に、他人の悪意に気が付かない。お前は全てを受け入れてしまう。容易く人を信頼するものではないよシラヌイ」
「…」
「そして僕の事も。僕の力を信用しても、僕に心は寄せないでくれ。はは、つい先日まで相対してたんだぜ?」
ムラサメは茶化すようにして笑う。シラヌイはムラサメを静かに見つめたまま答えた。
「相対していたといえど昨日までの事だ。お前はもう仲間だろう」
シラヌイの金色の瞳がムラサメを射抜く。
少しの沈黙の後、ムラサメは少し呆れたように呟いた。
「穢れを知らない。純粋だ。君は」
そうして少し瞼を伏せ、口の端を上げて笑った。
そこに通信機からクジョーの声が聞こえる。
『うんうん、仲の良い事は好い事じゃ!だがやりすぎるなよ?こざかしい雑魚が沸いておるがそいつらは洗脳された騎士じゃからな!』
「ったく、それに今は戦闘中だ!くっちゃべってる場合じゃねえっつうの!」
アルバは不平をたれた後、ルチアの背後から迫るヴァンガード兵の眉間に裏拳を叩きつけた。衝撃波が発生し、そのヴァンガード兵は後ろにいた兵を巻き込みながら吹き飛んでいった。
それからアルバは小さく呟いた。
「エリヤの命がかかってんだぜ。さっさと、見つけ出さねえと」
「ああ、勿論だとも」
その言葉にムラサメは真剣な眼差しで頷いた。
フロアを見渡す、どうやら追撃してくるヴァンガード兵はいないようである。ルチアはふうと息を吐いて前方にいる一同に声をかけた。
「あらかた片付いたみたいですね…」
「よし、じゃあ先に進んで…」
「いや、まだだ」
アルバの言葉を遮りシラヌイが呟く。
「何…?」
はっとアルバの神経が研ぎ澄まされる。
一本道の廃墟、その広い通路に獣の唸り声が聞こえた気がした。
その瞬間。
ドガァァン!
脆い天井が勢いよく崩壊した。ムラサメとシラヌイ、その後ろのルチア達よりもさらに後方。その天上に穴が開く。勢いよく吹き飛ぶ残骸、まう土煙。
「ルチアッ、後ろ———」
「え?」
目を見開くアルバに、ルチアは自身の後ろを振り返る。
すると土煙の中から針金のような舌が勢いよく、弾けるようにルチアに伸びた。
「ッだあああ!!」
アルバは地面を蹴る。そして押し倒すようにしてルチアと共に床に伏せた。針金のような舌は空を斬る。
「こ、れは…」
フォーガンが見据える先、そこには
アマガエルのような胴体に
蜘蛛のように細長い手足を八つはやした
顔の潰れた人面のような化け物―—————嵌合体<キメラ>が涎を垂らして立っていた。
「————な」
悍ましい外見のそれを目の前にして、ルチアは息をのむ。
と、その時。背後にいたはずのムラサメの声がアルバ達の眼前で聞こえた。
「やるじゃないかアルバ」
瞬間。
爆風が巻き起こり、目の前のキメラは涎をまき散らして横一直線に吹き飛んだ。
風圧に髪を揺らし、叩きつけた鉄槌を構えなおしながらムラサメはすぐさま声を上げた。
「シラヌイ!」
「承知した」
シラヌイは短く答える。見ると、シラヌイは既にキメラの頭上に飛んでいた。
一瞬の滞空。その間にシラヌイは鞘に入れたままの刀の柄を握り。
ズバァ!
上空から刀を振り下ろすようにして、袈裟切りにキメラを圧し斬った。
キメラは既に歪んでいる顔を更に歪め、咆哮する。
フォーガンは叫んだ。
「シラヌイ!まだですぞ!」
フォーガンの言葉通り、キメラはダメージこそ負っているものの、のそりと壁から体を起こした。そして壁から弾かれるようにしてシラヌイに襲い掛かる。
「喝ッ!」
即座にフォーガンはシラヌイの前に立ち、手のひらから掌底波を放った。キメラは避ける気配もなくそれを真っ正面から受ける。苦し気なうめき声をあげてキメラは後ずさった。
立ち上がったルチアは、悍ましいそれを見つめて問う。
「な、何ですかこれ…」
それにムラサメが答える。
「ローズブレインは生物兵器も研究していたんだ。まさかまだ生き残りがいたとはな」
その表情は冷たい。が、すぐににこりと笑って言った。
「だが撃てば死ぬ。恐れる必要はないよ」
通信機からクジョーが続ける。
『うむむ~!生物兵器などと!旧時代のものが残っておるとは驚きじゃ!あれはどうやら様々な動物の遺伝子を混ぜ合わせて造ったキメラのようじゃ』
「ふむ。キメラ…ですか…」
『よ~するにっ!この廃墟というダンジョンの中ボスというわけじゃの!』
「はあ~、悪趣味な…」
アルバは辟易と渋い顔をした。頭をかきながら口を開く。
その顔は少し焦燥していた。
「無駄に足止めを食うのは癪だがそうも言ってられねえ。…さっさと片付けるぞ」
「ああ。早急に、仕留める」
シラヌイは頷く。他の者も同様だった。
のそり、怯んでいたキメラが体を起こす。そしてバキバキと体を鳴らして唸ったかと思うと、勢いよく床を蹴りシラヌイらに襲い掛かった。
クジョーは通信機から一同を鼓舞するように声を張り上げた。
『さあ、最後のフロアまでもう少しじゃ!中ボスを討ち、エリヤを奪還せよッ!戦闘———開始じゃ!』
◇
ぱらぱらと塵が落ちる。断続的な激しい音が廃墟を揺らしていた。
広いフロアの壁にもたれるエリヤは出入り口を静視している。
脇腹が痛んだが意識は別の事に奪われている。眉間にしわを寄せたままエリヤは瞳を閉じた。
◇
銃弾がキメラの足を撃ち抜く。バランスを崩したキメラは、無防備にも前のめりに転倒する。そこへシラヌイとムラサメは一撃を叩きこんだ。
「<セイクリッド・クエイク>!!」
「<黒鉛刃・斬影波(こくえんじん・ざんえいは)>!!」
ゴオッ!!!
ムラサメの鉄槌は床を激震させ、抉れ逆立つ鋭利な床の割れは杭となってキメラを貫く。
その動けなくなったキメラに、シラヌイの撃ち放った斬撃による黒い衝撃波が直撃した。
ォォオ―—————————————ッッ
耳をつんざく絶叫。
キメラは最後ムラサメに手を伸ばすと、燃え塵となって消えた。
「ッしゃあ!やったぜ!」
アルバは汗をぬぐい、声を上げて叫ぶ。
ふう、とルチアは一息ついた。
「な、なんとか…倒せましたね…」
浅い息を繰り返すルチア。思わず脱力し、その場にしゃがみこんだ。
ムラサメは声をかける。
「…中々やる。やれば出来るじゃないかルチア君」
「え…?あ、ありがとうございます」
ムラサメはそう言ってルチアの手を取り引き上げた。
「はは、かわいいだけのお嬢さんじゃないね、君は」
そういうと今度は片目を閉じ、ウインクをして見せた。ルチアは顔を真っ赤にして後ろに飛びのく。
「ぎゃあ!!」
「はあ!?」
何故か同時に顔をしかめたアルバを無視して、ルチアはぶんぶんと手を振って顔を仰いだ。顔をほころばせながら言葉にならない言葉を並べる。
「か、かわいいお、おおお嬢さんだなんて!?いえっ、そりゃ私はまだぴちぴちですがでもっそんな!ぇえ~!?そんな褒めたってなにも出ませんよぉ~!!あっホラ!研究所では全然!歯!立たなかったし~~!!(早口)」
「はは、センスの話だ。物理的な強さじゃまだまだだよ」
「がーん!」
赤らめていた表情が一転して真っ青に変わる。よよよ…と萎れるルチアにムラサメは悪戯っぽく笑って追撃した。
「だがいい目をしている。僕は好きだな」
「はわ―——————!!!!」
「ルチア―—————!!!」
バタム
胸を抑え背筋を伸ばしたまま倒れて行くルチア。フォーガンはその背をさっと支えた。アルバが素早くその間に入る。額には青筋が走っていた。
「はいはいそこまでね~~~!!」
フォーガンはルチアの首筋に手を当てた。そしてはっとしたように言った。
「し、死んでる…!」
「いや、んなわけねーだろ!」
びし!とおもわずその肩を叩くアルバ。そのままムラサメを睨み直す。
「スカシめ…純情な乙女を弄びやがって…さてはお前ずっとこうなんだろ…!ッカ~ますますいけすかねえな」
「え?あれ?うーん…。今のはそういうつもりじゃなかったんだが」
はは…、と笑ってムラサメは頬をかく。
その様子をシラヌイはじっと見つめていた。ふとフォーガンと視線が合う。フォーガンは小さく頷いた。
(そうだ、な。今は深刻になりすぎてはいけない。冷静さを失っては向こうの思う壺だ。これでいい、よく…皆の気持ちをほぐしてくれた。ムラサメ…感謝するぞ)
「そういうんじゃないさ」
その声にシラヌイは目を丸くしてムラサメを見た。その視線にこたえるようにムラサメは振り返り、眉を下げて笑った。
「ふっ、お前は心まで読めるのか?ずるいな」
「さあ?何の事かな。っと…おしゃべりに興じている暇はなかったね」
「ああ行こう。おそらく…」
シラヌイは進行方向をみる。そこには大きな扉があった。
「この先のフロアが最終地点。そこにエリヤが待っている」
勢いよく扉が開かれる。そこはうっすらと白い煙の立つ部屋だった。広さはさほどなく、フロアと呼ぶには少し狭いことがわかった。ルチアは扉の正面の壁に触れて言った。
「思うより広くはないんですね」
ルチアは壁を軽くたたく。すると後ろ手に扉がしまった。
「!」
声が聞こえる。
「よ——うこそ!兄さんたち!よおここまで来てくれましたわ!」
「新手か」
シラヌイ達は振り向き、後方に武器を構える。
白い煙がふわ、と風をまとい扉の前に立っている男の姿をさらした。
金髪の軟派そうな男は仰々しく頭を下げて言った。
「俺はイッセンいいます。まあ~ただのしがない道化師ですわ!」
「エリヤはどこにいる」
シラヌイは静かに問うた。イッセンはにこ、と笑って言った。
「そう急かしなさんな。せっかちな男は嫌われますで?」
「御託はいい。答えろ」
シラヌイの鋭い視線がイッセンにささる。イッセンはやれやれと首を振り小さく独り言ちた。
そして懐の何かを操作すると、イッセンはニヤリと笑って言った。
「さあ入りんさい!————喜びなはれ、感動のご対面ですわ!!」
その時、扉の正面の壁が勢いよく破裂する―——正確には爆発した。
「な!?」
吹きあがる爆風。白い煙は霧散し一同を煽った。
「どうも~すみませんね皆、つかまっちゃいまして!くう~一生の不覚ッ!」
聞きなれたその声に一同は顔を上げる。
爆発により部屋を狭めていた壁が無くなり、大きくフロアが開く。そしてその突き当りにはエリヤが壁にもたれて座っていた。
「エリヤ!」
アルバが駆け寄ろうと足を踏み出す、がそれはシラヌイによって制された。
「ようこそ、来てくれると思っていたよ」
エリヤの傍らには、ローズブレインが立っていた。
「な…ブレ、イン」
アルバの顔が青ざめる。ルチアは目を見開きながら叫んだ。
「ローズブレイン元帥…!?どうしてこんなところに!?」
「まさか…頭本人が待ち受けているとはな」
フォーガンの言葉に、一同の頬に冷汗が伝う。
じり、と焦りが浮かんだ。
(未だ、ローズブレインの力については未知数!厄介なことになった。やむおえまい…。事を窮すれば、小生が…)
「ッ」
ふとローズブレインのものとは違う凄まじい殺気を感じ、フォーガンの背が凍る。思わずその方を勢いよく振り返った。
そこにはシラヌイが立っていた。
「…シラヌイ?」
静かに、フォーガンはその顔をうかがった。
「…」
返事はない。が、気づく。
シラヌイの瞳がゾッとするほど冷え切っていることに。
「—————!」
フォーガンは息をのむ。と、その時フォーガンの脳裏に鋭い衝撃が走った。
見ると、ルチアら他の者も同じく頭を抱えている。
「な、に、これ…!?」
脳の中で直接鐘を鳴らされるような痛み。一同は思わず膝をついた。
その姿を見下ろしながらローズブレインは口を開いた。
「今日は話をしにきたんだ。すこし大人しくしていてくれるかね?」
ローズブレインの手のひらには蒼い光が僅かに残っていた。
「まさか洗脳<マインドコントロール>…!?」
ルチアは床に伏しながら叫んだ。
「沈め」
ローズブレインは低く呟く。するとさらに全身を押しつぶされるかのような重圧が一同を襲った。
「————ッ!!!」
「な、んだ、この重圧、は!」
(体がうごかない!声も出せない…!なに、これ)
まるで数十キロの岩石に圧し潰されるかのような重さ。がそこには何もなく。
「そんな、重力まで、操れるのかよ…ッ!?」
「そう、思うかね?」
アルバ達は全身を軋ませる重圧に体を伏せる。そしてギリ、と歯噛みした。
ローズブレインは無抵抗になった一同を一瞥すると両手を広げて言った。
「創始者である私はお前たちを愛している。故に、お前たちの道は示してあげようではないか」
「何…?」
シラヌイの眼光がローズブレインを射る。床に張り付けられたまま、シラヌイは問うた。
ローズブレインはそれに応えるように歪に口を釣り上げる。
「ききたまえ。この父の言葉を。お前たちの知らぬ、抹消された歴史を!私しか知らぬ真実を!!」
そして静かに告げた。
「さあ、私の話し相手になってくれ」
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