2019.06.28 12:0423話 HELLJAILレガリア・コア。それはこの地に流れるインフィニティ―フォース、∞の力をエネルギーへと変換する巨大な窯。この都市国家ヘルジャイルの全システムを支えるその窯は、今や都市全土を覆う”終幕”を降ろさんとしていた。◇夜風吹きすさぶ塔の頂上、屋上庭園でシラヌイ達はレガリア・コアの前に立っていた。窯は蒼い光をまといながら熱を放つ。周囲の空気が熱に揺らぐ...
2019.06.23 09:1022話 無限SPIRITBLAZEそこは白い部屋。擦り切れる日々の中の、ほんの少しの穏やかな時間。いつもの変わらない笑みで、ローズブレインは血を吐いて言った。「これが、最期の対話になる」「…ブレイン…?どうした、様子がおかしい。出血多量。怪我か?ならば即刻、治療室へ行くべきである」<友達>の言葉にブレインは沈黙で答えた。笑顔のまま、操作盤を操作する。「…!何だ…?スリープ...
2019.06.20 11:1421話 貫け、この拳限りなく見上げる天上。そこには月を覆う蒼い繭、ZEXONが浮かんでいた。そしてその上空を幾度となく衝突する二つの光。都市中の心が喰われゆく中で、ルチアは呆然と空を見上げていた。体を吹き付ける、風は冷たかった。アルバもエリヤもグロウルもシラヌイも皆戦ってる。どれだけ苦しくても。何かを抱いて、戦ってる。———なら、私は?意識が霞む視界は滲み、白くぼや...
2019.06.20 08:0620話 逆光《―————―—宣告する》無機質で何の感情も持たない機械じみた音声それは繭の中に融けたローズブレインの、いや"彼に求められた機能"の声だった。《人間を剪定する終末兵器。善悪演算装置ZEXON。私はここに完成した。これより、救済を始める》一同は黒い空を見上げる。そこには”終わりの象徴”が現界していた。◇O,oooooooo――———————...
2019.06.17 15:0019話 ZEXONイッセンは見下ろす。重い鉄の大きな扉の前、そのフロアの床にはぽっかりと穴が空いていた。暗い底は見えないが、下のフロアに繋がっている事がわかる。「………くそ!ムラサメの旦那はもうあれじゃ戦えん!ネクロはあのままシラヌイに焚き付けて、自分はブレインを殺しにいけば良かったものを。これやから武人というのは面倒なんや!義理なんて捨てなはれや….。く...
2019.06.11 09:3418話 デッド・オア・アライブ———応答セヨ———応答セヨ一人(友人を)殺した二人(恋人を)殺した三人(師を)殺したそのあとはもう覚えていない死は、教わったよりも易かったそして心は、不思議と悼まなかった———応答セヨいつになれば自分の番がくるのか戦場に立つのは常に己ひとり「こちら、異常なし」◇「はあ、はあ、!!」「急ぎましょう、日没まで、時間がありません!」「ああ!」...
2019.06.10 14:3117話 極!LEDバースト「もう少しで…頂上、レガリア・コアの間だな」通路を走る一同。通信機からエリヤの声が聞こえる。『シラヌイ、少し休みますか?』「なぜ?」『ムラサメと戦ったんです。随分体力を消耗したはず、貴方が思うより体は限界に近づいている。いくら貴方が丈夫といえど』「はは。何だ、過保護だぞエリヤ?」『茶化さないでください!私は本気ですよ!』通信機から大声が響...
2019.06.06 14:2016話 十字傷の男「こっちだよ!」グロウルの声に一同は通路を駆け抜ける。時間は刻一刻と差し迫っていた。最後尾で、前を走る一同を見つめながらグロウルは薄っすらと笑った。「…日没まで、もうすぐ。だね」◆喧噪銃弾血と、汗と、硝煙の匂い。そこは戦場だった。それが男の———日常だった。建物の陰で、男は兵士の傷の手当てをしていた。痛みに兵士は声を上げる。「おいおい、男...
2019.06.06 06:2215話 ニラヤカナヤの民ふらり、イッセンは赤い液体を滴らせながら扉の方へ後ずさる。血の道が扉へ続く。そうして扉の前で力を失ったように膝を折った。が、その体は倒れることはなく。「あ…?」開いた扉の向こう、そこから現れた影がイッセンを支える。動揺したようなその声の主、その姿が一同の目の前に晒された。「イッセン…?おまえ、それ、どうした?誰がやりやがった?」一同ははっ...
2019.06.04 15:0814話 トラップ・トラップ・トラップ「だああッ!!」シャルルの大槌が壁を叩く。激しい衝撃に、その壁にはクレーターができた。ぱら…と瓦礫が落ちる。シャルルは息を荒げて激昂していた。「なんだよ、なんだよそれ!!!どうなってんだよ!!」「シャ~ルルッ」ひょっこりとイッセンが姿を現す。そして穴だらけになった部屋を一瞥しワーオと呟いた。「なあイッセン…!どうなってる!どうしてラルゴは...
2019.06.04 11:1413話 死が二人を別つまで・烈ゴウンゴウン鼓動のような機動音が聞こえる。床や壁には数多のチューブが脈のように走っていた。ここはかつてのヴァンガード本部。そして現在はローズブレインの”城”となっていた。空高く聳え立つその塔の上層階に、彼らは集まっていた。玉座であったろう鉄塊の上にローズブレインは腰掛けている。その前には跪くようにしてラルゴ、シャルル、イッセンがひかえてい...
2019.05.30 12:4912話 決戦前夜教会。その一室に一同は集まっていた。そこへシラヌイの様子を見てきたエリヤが戻った。クジョーは声をかける。「シラヌイはどうじゃ」その言葉にエリヤはぱっと笑って見せる。「少し安静にしていれば大丈夫ですよ」それぞれはソファーに座り、壁にもたれている。が、誰もが暗い顔をしていた。「本当に…?」ルチアの顔は依然暗いまま、ソファーに腰掛け手元を見てい...