2019.05.30 12:4912話 決戦前夜教会。その一室に一同は集まっていた。そこへシラヌイの様子を見てきたエリヤが戻った。クジョーは声をかける。「シラヌイはどうじゃ」その言葉にエリヤはぱっと笑って見せる。「少し安静にしていれば大丈夫ですよ」それぞれはソファーに座り、壁にもたれている。が、誰もが暗い顔をしていた。「本当に…?」ルチアの顔は依然暗いまま、ソファーに腰掛け手元を見てい...
2019.05.26 07:1411話 共闘、エリヤ奪還戦(後編)「な、んだ、この重圧、は!」アルバ達は全身を軋ませる重圧に体を伏せる。ローズブレインから放たれた力により一同は床に圧し潰されていた。指一本たりとも動かせない。ローズブレインは無抵抗になった一同を一瞥すると両手を広げて言った。「創始者である私はお前たちを愛している。故に、お前たちの道は示してあげようではないか」ローズブレインは歪に口を釣り上...
2019.05.21 15:0010話 共闘、エリヤ奪還戦(前編)ここはどこなのか。目を覚ましたエリヤは辺りを見渡そうと身を捻る。と、同時に左わき腹に鋭い激痛が走った。普段着ているコートは着ておらず、ベスト越しに血がにじむのが見えた。(そうか、私は…)そこは寂れた廃墟のようだった。脆い壁、瓦礫が散乱し、鉄骨が所々むき出しになっている。エリヤは、そのフロアの最奥の壁にもたれるように座らせられていた。足は自...
2019.05.20 13:579話 夢灯された日時刻は夜。辺りは暗く外気は冷たい。明かりの付いていない暗い礼拝堂には、ステンドグラスから月光が差し込んでいた。そして、その檀上にはペンキをぶちまけたような血だまりと、クロスのペンダント。クジョーはため息をつく。一同の視線が集まる。少しの沈黙の後、クジョーは口を開いた。「————革命軍に、エリヤが攫われた」◇「ふざけんな。こんな事あってたま...
2019.05.20 11:318話 烈愛のラルゴ「私は烈愛のラルゴ。さあ素敵な殿方たち、私と…存分に遊んでくださいませ」ラルゴがそう叫んだ瞬間。弾丸のような突きがシラヌイらを襲った。シラヌイは刀身でその全弾を弾く。「まだまだ!」ラルゴは弾かれたキュースティックを手のひらで回し、衝撃を散らす。そしてそのキュースティックを地面に突き立てた。その隙にシラヌイは刀を構え、一撃を叩きこむべくラル...
2019.05.20 08:577話 休息ヴァンガード本部、その一室にて。シャルルとイッセンは向かい合って座っていた。二人の間にある卓上には白と黒の盤が置かれている。つい、とシャルル側のキングをつまみ上げるとイッセンはにっこりと笑った。「ほいっ王手!」「ちげえよ!これはチェックメイトっていうんだよ!あーくやしいもう一回!」後ろで二人の様子を見ていたラルゴが声をかける。「いけません...
2019.05.19 12:046話 クロスファイア夜の森。冷たい風が吹く中、月に照らされた影が二つ。大きく開いた胸元からは十字傷が見えた。黒髪が風に攫われるままに、男は咥えた煙草に火を着ける。「シラヌイ=ザン=サオトメ。一体何者だ?このイレギュラーが吉とでるか凶とでるか…」肺から息を吐きだす。白い煙が夜闇に漂った。その様子に答えるように、もう片方の人物が口を開く。「旦那、どうします?奴さ...
2019.05.19 07:045話 激戦!KUJOメカ軍団トンテンカン、トンテンカン断続的に聞こえる金属音。建物中に響く歯車の音。工房の中で、鉄の安楽椅子に腰かける少女がいた。「ほう。馬鹿がぬけぬけと私のところへやってくるじゃと?無礼者には、灸を据えてやらにゃいけんのう。フォーガン、アレを出すぞ」少女の後ろに控えていたマスクを着けた大男がこたえる。「アレ…ですか。承知した、クジョー」大男が姿を消...
2019.05.19 05:284話 反逆のヴィジランテ男は小さく息を吐き、空を見上げる。白い雲に晴天、暖かい陽が差していた。陽の光にモノクルがきらめく。黒髪を後ろに束ねた優男は一人呟いた。「はあ。アルバはちゃんと役目を果たしているんでしょうか…」◇路地裏を歩く。先頭にシラヌイを置いて、次にルチア、その後ろにエリヤがついていた。「あ~そこ次左ね」エリヤの言葉にシラヌイは従い路地裏を進む。建物の...
2019.05.19 05:033話 遊撃のシャルル立ち話をする人買い物をする人石畳を駆け回る子供たちそこでは誰もかれもが生活していた。ここは都市の中心部、中央街だ。広場の中心には、螺旋模様の掘られたオブジェのような”大きな石板”が立っている。名を”レガリア”。中心広場だけでなく、北、南、西、東に設置されているそれはこの都市を支えるIFエネルギーの分配装置である。「これがレガリア…」近くで...
2019.05.19 04:402話 激動、不知火これは彼女のいつかの記憶。幼い頃に描いた夢だった。彼女———ルチアは思う、これは走馬燈なのだと。もう大丈夫だよ、お嬢さん。私が来た、君は助かったんだ。君は強い子だ よく頑張ったねあの時の記憶を今でも鮮明に覚えている。母の顔は穏やかで、とても嬉しそうだった。私は母が語ったそのナイトさまに恋をした。そうして今私は騎士<ヴァンガード>に選ばれた...